ADSL導入に伴なう問題点


 このADSLサービスはアナログ信号を用いて行うサービスなので、このことでいくつか問題が発生します。
 まず、ISDNを既に利用している人はISDNのデジタル信号から、アナログにに再び戻さなければなりません。この作業は通常、ADSL接続業者に申し込みをして、NTTからADSL使用の許可が下りてから、ユーザー自身でNTTに116などで連絡して行います。また、電話線を引いたときに最初からISDNで加入した方はアナログに変更すると電話番号も同時に変更されてしまう場合が多いので注意が必要です。

 また、ISDNライトでNTTの加入者権がない方はアナログライトのサービスを利用する(基本料が通常より640円高いかわりに、電話加入権を購入する際にNTTに支払う72000円は必要ありません)または、ADSL専用回線での申し込みをする(この場合、通常の値段より月々2000円程度高くなります)、普通にNTTの電話加入権を購入する、という3つの選択肢があります。ADSL&電話を長期間利用するのであれば電話加入権を購入した方が得ですし、短期間であればアナログライトを利用するのが賢い選択ではないでしょうか。
 さらに、自宅とNTT局の間の回線が光ファイバーのみになっている区間がある場合、マンションなどでその建物全体の電話回線が光ファイバーになっている場合はそのままではADSLは利用で来ません。まず、NTTと自宅の間が光ファイバーになっている場合はNTTに約10000円払い銅線を敷設することで利用可能になります。しかし、マンション全体が光ファイバー化されている場合はADSLの利用はできない場合が多く、諦めざるをえないでしょう。(詳しくはマンション等の管理人に聞いてください)
 また、根本的にADSLは利用可能な範囲が狭く利用できない人も多いという欠点があります。

 家の中の問題としては、アナログ接続と違って複数のモジュラージャックが家庭内にあるとき、インターネットに接続できるモジュラージャックは1ヶ所に限定されます。(電話のみなら複数でもOK)例えば、1階と2階でそれぞれ別のパソコンでネットに接続しようと思うと、ADSLモデムを1階か2階のいずれかのモジュラージャックにスプリッターを介して接続し、別の階にあるパソコンはながーいLANケーブルでモデムまで繋ぐか、無線LANで飛ばす必要があります。以下に例として、1階にモデムを置いて1階と2階で同時にネットに接続する場合を書いてみます。

【2階】
モジュラージャック×                      ---------------《パソコン》
                                  |
                                  |
----------------------------------------------------------------------
                        (LANケーブル) |
                                  |
【1階】
モジュラージャック---[スプリッター]----[モデム]-----[ルータ or HUB]----《パソコン》
                |
               [電話機]



 なお、電話だけなら2階のモジュラージャックにもスプリッターを介して電話を接続すれば通話できる可能性はあります。ADSLにすると、電話を繋ぐにしろパソコンを繋ぐにしろスプリッターは必ず必要になります。


【2階】
モジュラージャック---[スプリッター]---[電話機]       -------------《パソコン》
                                  |
                                  |
--------------------------------------------------------------------
                         (LANケーブル)|
                                  |
【1階】
モジュラージャック---[スプリッター]----[モデム]-----[ルータ or HUB]----《パソコン》
                |
               [電話機]


 このように、モデムを一つのモジュラージャックのそばに置き、そのモジュラージャックからのみネットに接続するようにします。

 さらに、現在利用しているプロバイダーがある場合、そのプロバイダーが対応しているADSL接続業者は限られてきます。もし、利用中のプロバイダーが対応しているADSL接続業者のなかに、自分の住んでいるところで使えるADSL接続業者がなかった場合、自宅で利用可能なADSL接続業者に対応しているプロバイダーへ乗りかえる必要があります。例えば、自分の住んでいる場所がYahoo! BBしか使えるADSL業者がない場合、Yahoo! BBはプロバイダーはYahooのみなので、ADSLにするためにはプロバイダーを現在使用中のところからYahooに乗り換えなくてはなりません。
 プロバイダーを乗り換えて起こる支障(メールアドレスの変更、HPの移転等)が問題ないという方はこのことについては考える必要はありません。
 利用中のプロバイダー対応の中に在住の場所で利用可能なADSL接続業者があった場合は回線だけがADSLに変わるだけで、特に支障はありません。

 ADSLには2種類の信号形体が存在します。Annex-Aと、Annex-Cです。Aは欧州標準の信号でCは日本独自の信号です。この2種類のうちAnnex-Aを採用している業者はYahoo! BBと東京メタリック通信の一部ですが、この欧州標準のAnnex-AにはISDN信号と干渉してしまうという欠点があります。Annex-Aの信号を採用している業者では、周りでISDNを使い始めると(特にテレホタイム)と干渉してしまうために速度が遅くなる現象が起きます。Annex-Cでは特に気にするほどの干渉は起きないようです。ADSLではアナログのように、回線が混雑して遅くなるということはまずありません。遅くなる原因はISDNとの干渉なのです。


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