3-5-2を考察


ここでは、トルシエ日本代表のシステムであった3-5-2のシステムについて説明しましょう。


  上図ではOH1人、DH2人になっています。逆にOH2人、DH1人のシステムもありますが、それは比較的格下の相手のときに用いるシステムで、上図のほうが一般的です。トルシエ日本代表も大抵そうでした。このDHが2人の状態を ドイスボランチ(ダブルボランチ)といいます。ちょっと前まではダブルボランチの方がよく使われていましたが、ダブル(英語)+ボランチ(ポルトガル語)は変だということで最近は、どちらもポルトガル語にあわせてポルトガル語で2つの意味の《ドイス》を用いてドイスボランチ(意味はダブルボランチと同じ)の方が定着しつつあります。(DH・ディフェンシブハーフの別称にボランチという言い方があります。ボランチとはポルトガル語で舵をとるといった意味です。ただし、正確に言うと守備的MF=ボランチではありません。守備に専念するような選手ではなく、守備的MFの位置にいながらも攻撃の起点になるような選手をボランチと呼びます。まさに、チームの舵取り役ですね。でも、実際にはテレビの実況・解説でも大半の人は守備的MFとボランチを区別せず、同様な意味として使っていますね。)ちなみに、DHが3人の場合はトレスボランチと言っています。意味はポルトガル語で3人のボランチです。

  トルシエ日本代表はご存知の通りフラットスリーというディフェンスの形をとっていたので上図にはSW(スイーパー)をディフェンス3人の中央に置きましたが、日本代表はSWを置かず、CBが3人いて大半は横一列に並んで守備をします。

  レッズでは今のところオフト監督になってからも引き続き、このシステムがとられています。ではこの場合のそれぞれの基本的な役割を解説しましょう。


  • CF、OH、DH、CB・・・4-4-2と同様。

  • WB・・・4-4-2のSBとSHの役割を兼ねたようなポジションで、縦の運動量が非常に多いので体力がいるポジションです。攻撃の時は上がってセンターリングをあげ、守備のときは相手のサイドの選手を抑え、センタリングをあげさせないようにすること。

  • SW・・・スイーパーはCBが相手の2トップ(CF2人)を抑えているときにそのカバーと、残りの相手選手をマークすることと、スペースを埋めること。'98W杯フランス大会での日本代表では井原がこのポジションをつとめていました。SW以外の2人のCBのことをST(ストッパー)といい、STとSWの3人をまとめてCBと呼びます。



  •   例として'98W杯フランス大会での日本代表のアルゼンチン戦と2002年W杯日韓大会でのベルギー戦の布陣をあげてみます。(これは自信あります)


      


      日本代表のディフェンスシステムだったフラットスリーの場合、中央のCBが両側のCBの指揮をとり常に横一列に、等間隔を保って守備をし、より多くのオフサイドをとろうという戦術のようです。99年にトルシエ監督が就任した当初は戦術が徹底されていなく、選手も理解半分だったため失点が多かったですが、2001年3月のフランス戦以後、戦術理解も深まりフラット5も併用してかなり完成に近づき、2002年W杯本番では第1戦ベルギー戦でフラット3を崩された事を反省し、宮本を中心としてフラット3を選手の判断で時折自ら崩し、より臨機応変にディフェンスラインを形成していました。

      また、最近よく聞く、森島や中田(英)が得意とするポジションの1.5列目とは、OHが通常の位置より少しあがり目に位置してCF(1列目)とOH(2列目)の中間に位置するようなポジションのことを指します。同じようにボランチの位置のことを3列目とも言うことがあります。